大地に住むか、天空に住むか。
平屋にするか2階建にするか、はたまた3階建にするか。都心の狭小地ならいざ知らず、ある程度の敷地の広さならば、皆さん迷われることでしょう。合理的な生活動線には平屋がベスト、いう提言を目にすることが多いですが、果たしてそれが自分たちの生活に本当にふさわしいでしょうか。

平屋暮らしのメリットは、上り下りなく、生活すべてが済ませられること。足腰の弱った老後でも一安心。お庭との繋がりも作ることが出来て、室内+お庭、と空間の広がりも得られそうです。玄関の近くにLDKがあれば、家族の帰宅や来客の気配もわかり、コミュニケーションが取りやすいでしょう。一方で、すべての部屋がフラットに繋がるので、適度なプライバシーをどう取るか、が工夫する点となりそうです。
一方の2階建て。とかく水平方向の広がりに目を向けがちですが、上へ目線をあげると、空間のバリエーションが広がります。吹抜をつくることで高さ方向の広がりを得たり、近隣の目を気にせず大開口を設けたり。光の入る高さと空間の高さを操ることで、さらに広がりのある空間を作ることが出来ます。生活機能が上下階に分かれることで、プライバシーを保てる間取りも作りやすいでしょう。ただ上下階に分かれた生活動線をどう作るかが工夫のしどころ。ご家族の暮らし方によって、頻繁に上下動がなく生活出来るようにまとめることが大事なポイントです。
ここでよく悩まれるのが、家族の集うリビングを1階にするか、2階にするか、という点。2階リビングなら、光をより取り入れられること、眺望が得られること、近隣や歩行者の目線を気にせず窓を開けられそう等々、メリットは様々。お庭との繋がりがないことがデメリットになりそうですが、猫の額ほどの庭の先に塀、という光景ならば、庭替わりのテラス+どこまでも広がる空もしくは借景、という置き換えもありです。
ただ2階リビングで悩ましいのが荷上げ。食糧品などの荷はとかく重いもの。この解はまだ解けておりません。料理屋にあるようなダムウェーターを付けてはどうか、などと考えたこともありますが、やや重装備。これは、今後のお助けロボットの技術革新に期待をしています。
とかく老後の暮らしを心配される若夫婦も多いのですが、老齢の親を見ると、実は上階での生活もありでは、と感じます。まずは階段を上り下りすることが、適度な運動になっていること。そしてステイホームを強いられたコロナ禍、外に出られなくなった生活に潤いをもたらしたのは、窓からの景色とプライバシーの保てるバルコニーでした。
ただ1階リビングと2階リビングで大きく変わるであろう点が、近隣との関係性です。街のコミュニティに対し、どのくらいの距離感で接したいか、という点が大きく異なります。知り合いや近隣の方がふらっと訪ねてきたとき、気兼ねなくお喋り出来る場が1階にあるかどうか。2階リビングであれば、土間空間を広めにとったり、セカンドリビングを設けたり、といった一工夫が、これからの暮らしの助けになるのではと思います。
かように、平屋でも2階建ても暮らしやすい間取りは工夫次第。何をもって居心地良しとするか、それは個々人のライフスタイルによるものでしょう。世間の流行や提言に惑わされず、自分達はどんな暮らしをしたいのか、とことん考えることが、満足いく家作りの第一歩です。
『この間取りがすごい』(共著、エクスナレッジ社刊)より




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