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贅沢な時間

  • 4月16日
  • 読了時間: 1分

これまでで一番贅沢な時間を過ごしたのは?と聞かれたなら、美術館の展示室を独り占めしたこと、と答える。


お盆の最中だったか。とある地方の美術館を訪れたところ、人っ子一人いなかった。数階分はあろうかと思う高天井。広大な展示室を満たす柔らかな光。四周の壁に掛けられた大きな絵画。空間の中央にボタン留めの革張りベンチ。


そんな贅沢な空間の中に、たった一人。絵を隅々まで眺めるもベンチに寝転がるも自由。監視員すらいなかった。心ゆくまで対話できること、その空間を独り占めしていることに、ただただ感動していた。


その場所とは、美術館設計では右に出るものがいないと言われる谷口吉生の設計、かつ20世紀最高傑作ともいわれる豊田市美術館。


おかしなことに、なんの展覧会だったか、どんな絵だったかは全く覚えていない。あの空間と時間を独り占めした豊かな気持ちだけが残っている。

 
 
 

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